マイニングとは
マイニングとは、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産の取引承認となる複雑な計算(コンピューター演算)作業に参加して、その成功報酬として新規に発行された暗号資産を得ることです。
このマイニングを行う人たちのことをマイナーといいます。
中央となる管理者が存在しない暗号資産において、この世界中にいる全てのマイナーが、自律して取引履歴のコピーを記録し続けています。
このため、一部のコンピューターがダウンしても、残りの多数のマイナーが記録を保持しているので、システムがダウンしても取引履歴が消えてしまうことはありません。
この自律分散システムは、取引の高い信用度が求められる暗号資産に欠かせないものであり、暗号資産の土台となるブロックチェーン技術を支える仕組みとなっています。
では、その仕組みをもう少し詳しく説明します。
マイニングの仕組み
暗号資産の個々の取引データ(「いつ」「どのアドレスが」「どのくらいの量の暗号資産を取引したのか」などの重要な情報)をトランザクションといいます。
ブロックチェーンでは、それぞれのトランザクションを改ざんできないように暗号化(ハッシュ化)して(ハッシュ値を)書き込んだ、一つの「ブロック」を生成します。

1.取引データ
2.ハッシュ値:
ハッシュ関数というアルゴリズムによって、《 一方向(不可逆)の値 》 を生成する。
《 一方向(不可逆)の値 》 というように、一方向の演算は簡単なのに逆方向は難しい。
暗号に極めて近い関数。
3.Nonce(ナンス値):
「Number Used Once=一度だけ使う数値」の意味。
この3つの値を合成して、ハッシュ関数に入力し、ハッシュ値を計算します。
このハッシュ値がブロックとブロックをつなぐジョイントになります。
そして、このジョイントには一定の制限があります。ここでは、その制限についての説明は省きますが、この制限に外れるハッシュ値はジョイントに使えないようになっています。
「1.取引データ」と「2.ハッシュ値」はすでに決まってしまっているため、変えることができません。
しかし、「3.Nonce(ナンス値)」は変えることができます。
つまり、《一定の制限があるジョイントを生成する条件を満たす Nonce(ナンス値)を探す》
これが、「マイニング」です。
では、このマイニングをしている人(マイナー)とは誰なのでしょうか?
マイナーについての詳しい解説は、こちらをクリック
マイニングの方式 「PoW」と「PoS」
マイニングの方式にはいくつかあります。
その中でも多くの暗号資産に採用されている「Pow(プルーフ・オブ・ワーク)」と「PoS(プルーフ・オブ・ステイク)」について、以下に解説します。
「PoW(プルーフ・オブ・ワーク)」
このマイニング方式を使っている一番有名な仮想通貨は、やはりビットコインでしょう。
この方式は、ブロックチェーン上の取引データの承認のために、世界中のマイナーが膨大な計算を行います。
そして、1番最初にこの計算をを成功させたマイナーだけが報酬(新しい仮想通貨の発行)を受けることができるルールです。
しかし現在、このルールにはいくつかの問題点があります。
ひとつめは、世界中のマイナーがしのぎを削り、その結果計算能力の高いスーパーコンピューターを導入してマイニングできるような大資本の企業しかほぼ参入できなくなっていることです。
これは、一部のグループや企業などにより組織的な改ざんが行われる可能性をつくることになります。
もうひとつは、世界中で競ってマイニングマシンを稼働させることによって、電力消費量が大きくなり地球環境に負荷を与えているのではないかという意見があることです。
「PoW」についてのさらに詳しい解説はここをクリック
「PoS(プルーフ・オブ・ステイク)」
マイニングが行われる暗号資産の保有枚数に応じてマイニングの割り当て率が高くなる方式です。つまりたくさんの暗号資産を持っている者が多くのマイニング報酬を得ることができます。
この方式は、世界中のマイナーが計算スピードを競い合うことで大きな電力を消費してしまうPoWの問題点を緩和してくれるものですが、一部のお金持ちだけがこの権限をもつことになる不公平な仕組みになってしまいます。
そこで、暗号資産の保有量だけでなく、保有期間も考慮するタイプのPoSもあります。
しかしこの場合は、多くの保有者が保有期間を長くしようとすることで、市場に出回る暗号資産が少なくなり、実用性が高まらないというデメリットを生みます。
2022年4月現在、PoSはいくつかのアルトコイン(ビットコイン以外の暗号通貨)で採用されています。
Ethereum(イーサリアム)では、今後のアップデートでPoS(現在はPoW)への変更が予定されていますが、いまのところ実装はされていません。
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